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紫式部 源氏物語(1987) [アニメ]

紫式部 源氏物語.JPG

世界文学史の上でも高く評価される、平安の世に生まれた日本初の長編物語が、朝日新聞東京本社創刊100周年、テレビ朝日開局30周年、日本ヘラルド映画創立30周年を記念してよみがえる、「紫式部 源氏物語」(1987 朝日新聞社・テレビ朝日・日本ヘラルド映画グループ)
監督・絵コンテは杉井ギサブロー。
声は、風間杜夫、梶三和子、田島令子、風吹ジュン、萩尾みどり、横山めぐみ、そして大原麗子ほか。


桐壺帝の第2皇子・光源氏は、政争に巻き込まれることを懸念した父帝の計らいで源氏姓を賜り、臣下の身となっていたが、その美貌と才知は都の人々の注目を一身に集めていた。ある夜、恋を語らうために古びた館に夕顔を連れていった源氏は、横たわる夕顔の肩に桜の花びらが降りかかるのを見る。なにかがいた。そのなにかを追い払うと、桜は消え、そして息絶える夕顔の姿があった。桜の幻影に、源氏はおびえた――。

源氏には多くの通う女性がいた。6歳年上で前皇太子妃であった六条御息所(前の皇太子との間に皇女が生まれたため「御息所」といわれる)は狂おしいほど彼を思い、左大臣の娘であり正妻・葵上は、悲しい気位のために彼には素直になれない。
満たされない思いを抱く彼には、父帝の妻であり、義母にあたる藤壺への苦しい恋があった。通じてはならない関係の中、源氏は狂ったように藤壺を求め、そして病で宿下がりをしていた藤壺の元に。罪の意識を感じながらも、藤壺は源氏の激しさに我知らず受け入れてしまうのだった。
源氏は藤壺の面影を求め、秋の北山で藤壺の姪・紫を引き取る。紫への愛着を感じる源氏の耳に、藤壺懐妊の知らせが入る。東宮である第1皇子の母・弘徽殿大后は譲位に向けて動き出し、生まれた若宮が自分とうりふたつであることに源氏は複雑な思いにかられる。

そのころ、源氏に新しい女性ができる。近く東宮妃となる予定の朧月夜であるが、源氏はそのことを知らなかった。父帝が譲位して兄の朱雀帝の世となると、葵上に子供ができる。だが葵上は出産後、物の怪となった六条御息所に殺され、御息所もまた自らの業に恐れをなして、娘の斎宮とともに都を離れる。藤壺もまた父帝の死により出家し、女性たちは、源氏の安らぎを求める心を置き去りにしたまま静かに去っていくのだった。

女性たちとの関係で、源氏は得体の知れない不安に常に襲われていた。安らぎを女性に求め、その安らぎを手に入れようとするとき、彼は必ず肩に降りかかる桜の花びらの幻影を見る。桜の花びらは、母が死んだ時にも同じように舞っていた。桜が舞う、そのたびにいとしい人が消えていくのだ・・・。

今、源氏に残っているのは美しく成長した紫と、帝の寵妃となっても関係の続いている朧月夜だけ。しかし、朧月夜との関係がその父・右大臣に見つかり、弘徽殿大后(朧月夜の姉)の策謀で、源氏は須磨へと流される。所領・財産を、妻となる紫上に譲り、ふたりは結ばれる。その夜、幻視のただなかにあり、異空間へと吸い上げられる源氏は、死んだように沈黙する都の姿を見る。桜の影に怯えてつづけた源氏は、紫を得たこの時ようやく強い意志をもってそのことを克服するのだった。



『源氏物語』54帖の中の、いわゆる「桐壺」巻から「須磨」巻までをアニメ化したもの。それなりに物語が盛り上がり、1つの作品としてまとめやすいことから「須磨」巻までで止める作品は多いですが、これもその1つですね。
特徴としては「桜」をキーワードとして、源氏の内面を描いていることでしょう。原作を知っている分、ツッコミ入れたくなる部分も多いのですが、「銀河鉄道の夜」で、宮沢賢治の不可思議な世界観を表現した杉井ギサブローだけに、それなりにうまくまとめているとは思います。

個人的には、キャラクター原案をつとめた林静一と、キャラクターデザイン・作画監督をつとめた名倉靖博コンビが作り上げたあの世界が大好きです。ラフデッサンなんて、それだけで芸術って感じで、独特の抒情性と妖しさがたまらなく、最高!

源氏は、若紫を見ながら頭中将に「あの姫を見たとき、誰にも渡したくないと思った」みたいなセリフを言うのですが、そのセリフはなんだかとっても印象に残っていますね。

とはいえ、声優陣には不満はあります。風間杜夫は、ちょっと嫌でした。メインの「桜」についても、幼い源氏が母が亡くなった時に、その花びらを樹齢一千年の桜の巨木のウロ(個人的に、ほこら、という表現はあまりピンッとこない)に埋めて石で蓋をする、という場面はたまらなくキレイだったのですが、最後の方が・・・という感じです。

細野晴臣の音楽や、声優陣の中でも、例えば、アニメ「ベルサイユのばら」のオスカル役でも有名な田島令子(葵上)や、横山めぐみ(紫上)などはなかなかよろしいですよ。特に、横山めぐみは、子供のくせにどこか自分の運命を知っているような、そんな複雑な紫上役をうまくこなしていると思います。



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