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紅夢(1991) [アジア]

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「菊豆」に続く張藝謀とコン・リーのコンビ第3作。
蘇童の小説『妻妾成群』を原作とする「紅夢」(1991 香港・中国/原題:大紅灯篭高高掛 RAISE THE RED LANTERN)
監督は張藝謀(チャン・イーモウ)。
出演は、コン・リー、フー・チャイフェン、マー・チンウー、ツァオ・ツイフェン、コン・リンなど。


1920年代の中国。父に先立たれた経済的理由から大学を半年で辞め、口うるさい義母から逃れるために、19歳の頌連は地元の素封家の当主との婚姻を承諾する。
彼には、彼女の前には本妻を含めて3人の愛妾がおり、彼女は第4夫人として屋敷に入る。
1院~4院と呼びならわされる彼女らの居室の外に赤い提灯が点れば、そこに旦那=陣佐千のいる証となり、女たちはみんなその瞬間を待つのだった。点灯された院の女には、足叩きが施され、その日の食事の選択権が与えられる。点灯が続けば屋敷における権力も大きくなるのだ。

初夜の晩は、舞台の人気女優だった3院の梅珊の介入で何もなく終わったが、すぐに無理矢理に女とされた頌連に2院の卓雲は同情的だった。が、旦那と関係を持ち、第4夫人になれると考えていた召使いの雁兒は、頌連に対し露骨に意地悪くした。

点灯・消灯・・・旦那の機嫌ひとつで左右される自分たちの存在にフラストレーションをため、そしてむなしさを覚える頌連は、ある日、旦那の長男の吹く笛の音に心安らぐ。そして頌連は、持参していた父の形見の笛を探す。しかし、笛はなくなっていた。雁兒の部屋にそれを探すと、その中いっぱいに飾られた赤い提灯が。

赤い提灯は妻にしか許されないものである。身のほど知らずな雁兒の実態に驚愕する頌連は、さらに自分の名が書かれた呪い人形・・・針を無数に打ちつけてある呪い人形を見て、ショックを隠せない。
ただし、文盲の雁兒に字の書けるはずがない。雁兒に問い詰めたところ、それを書いたのは、彼女につらくあたっていた梅珊ではなく、優しげに見える卓雲であった。梅珊の話によると、卓雲こそ旦那の関心を得るためにはどんな悪事もしでかしかねない女だとのこと。

頌連は人が信じられなくなり、狂言で妊娠を訴えるが、これを下着についたメンスの血痕から雁兒が卓雲に密告し、医師によって妊娠が嘘であったことが明らかにされる。
頌連の提灯は封灯され、屋敷での彼女の地位は下落する。点灯・消灯・封灯・・・そんなものに振り回される自分たち。旦那の愛を得ることだけが人生の目的とは、むなしすぎる。酒におぼれる頌連は、酔った勢いで梅珊と医師・高の不倫関係を暴露し、梅珊は捕えられて惨殺されてしまう。その一部始終を目撃した頌連は精神に異常をきたし、翌年、旦那がうら若き第5夫人を迎える頃には完全に気がふれてしまっていた。



コン・リーの美しさに脱帽!
楊貴妃のような肉感的な中国美女として名高いコン・リーだが、自尊心と権力への誘惑に翻弄される頌連を好演している。足叩き、いわゆる軽い足つぼマッサージみたいなものが、点灯される院の女にだけ施されるわけであるが、その心地よさと屋敷内での権力確保は同一であること、それをなんとか得たいと思う気持ちと、旦那の気分次第でふりまわされるという、まるで動物のように扱われることに対する反発が、心の中でせめぎあっている様子は、なんともいえない。

しかし、コン・リーって独特の役柄が多いような気が・・・。
「菊豆」ではけなげな後家役だと思ったら、すごいことやっちゃうし、「続・西太后」では小生意気・・・いやいや、しっかりした性格がアダになってしまった悲劇の皇后役、「さらば、わが愛/覇王別姫」では娼婦役だし。人生の荒波を渡ってます!的な骨太女性を演じることが多い。逆に、貴重な女優なんだけど。

映画として、映像的にもレベルが高い。「紅」を使った数々の演出、随所にちりばめられた梅珊の歌声、旦那の顔をはっきりとは見せない女だけの水面下の戦いが、実にうまく、上品に描かれている。
中国映画はあまり知られていないが、同じくコン・リー出演の映画「さらば、わが愛/覇王別姫」「始皇帝暗殺」にはない情緒感がある。中国映画がなぜもっと普及しないのかがわかんないなぁ~、というより、観ようよ!

アジア映画はテレビ放映されることも多いので、ぜひ観てもらいたい。この映画は日本人もスタッフとして参加している。そのせいか、中国映画としてはちょっとノスタルジックな感じがしている、かな。




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