SSブログ
アジア ブログトップ

西遊記~はじまりのはじまり~(2013) [アジア]

西遊記~はじまりのはじまり~.jpg


中国四大奇書のひとつ『西遊記』をもとに、三蔵法師一行が天竺を目指した理由を描いた、「少林サッカー」のチャウ・シンチー(周星馳)監督作品「西遊記~はじまりのはじまり~」(2013、原題:西遊 降魔篇)
監督・製作・脚本は、チャウ・シンチー。
出演は、ウェン・ジャン、スー・チー、ホアン・ボー、ショウ・ルオ、リー・ションチン、チェン・ビンキャン、チャン・チャオリー、程思寒、シン・ユーなど。


ある川そばの集落で、川の妖怪(後の沙悟浄:リー・ションチン)で善良な人々を襲っていた。仏門の弟子であり、妖怪ハンターの玄奘(後の三蔵法師:ウェン・ジャン)は、妖怪を陸にあげると、「わらべ歌三百首」を唱えて、その善の心を呼び覚まし、妖怪を改心させようとしたが、失敗する。玄奘に襲いかかる妖怪を退治したのは、妖怪退治の“無限変幻リング”を操る美人の妖怪ハンター・段(スー・チー)だった。
失意の玄奘は、師匠(程思寒)の元に戻り、自分も妖怪を退治したいと訴える。師匠は、玄奘にはなにかが足りないだけであり、それがわかればわらべ歌の力もわかるようになると伝え、さらなる修行に玄奘を送り出す。
山の中の建物で出会った妖怪は、猪剛烈(後の猪八戒:チェン・ビンキャン)という名で、美男に心を奪われる旅人を襲っていた。玄奘を救ったのはまたしても段だったが、一度は猪剛烈を生け捕りにするも、逃げられる。妖怪を退治するのは賞金が目当てではなく、人々を助けたいからだと玄奘は段に語るが、怪我を負った彼女を意識してしまい、その場から立ち去る。
師匠から、男女の愛について尋ねられた玄奘は、仏門に入る自分にとって大切なのは「大いなる愛」だと言う。その答えに、欲しいものを要らないというその心が、足りない「何か」であると伝える。
猪剛烈を退治するためにはどうすれば良いかと尋ねる玄奘に、師匠は「五指山の麓に封印されている孫悟空(ホアン・ボー)ならばその妖怪を倒せるが、性格に難があり注意の必要な人物である」と教えられる。そこで、玄奘は、孫悟空に会いに行くため、出発する。
途中、空虚王子(ショウ・ルオ)、天残脚(足じぃ:チャン・チャオリー)、虎筋蟷螂アニキ(シン・ユー)といった妖怪ハンターと出会い、段からは愛の告白を受けるが、玄奘はその想いを受け取ることを拒否し、五指山に向かう。そして、500年ぶりの来訪者に喜ぶ悟空と出会い、猪剛烈退治の方法を聞き、段の協力もあって、猪剛烈を退治する。段は、妖怪退治の記念として、玄奘に川の妖怪と猪剛烈を封じ込めた袋を渡す。
段はふたたび玄奘に自分の想いを伝えるが、玄奘は再度拒否をする。去っていく段を想い、うなだれる玄奘に、岩の中に閉じ込められた悟空は、蓮の花で月が見えないと告げる。玄奘が蓮の花を摘み取ると、悟空が岩から飛び出る。大日如来の封印は、その蓮の花だったのだ。
封印が解かれた悟空は、自分を退治にきた空虚王子、天残脚、虎筋蟷螂アニキを無残に倒すと、玄奘の髪をむしり取り、殺そうとする。それを救ったのは、去っていったかと思われた段だった。段は、玄奘を守るために悟空に勝負を挑み、他の妖怪ハンターと同じように、無残に殺されてしまう。玄奘は段をその腕に抱き、ようやく自分もまた段を愛していたことを告げるのだった。
自分の想いを自覚し、それが失われる無常を悟った玄奘は、大日如来経をとなえ、悟空を封じ込める。正体をあらわした悟空の頭に、段が残した無限変幻リングをつけるのだった。
師匠の元に戻った玄奘は、男女の愛も大いなる愛のひとつであり、苦痛を知ってこそ、人生の苦痛を理解でき、己の執着を知ってこそ手放すことができる、と答える。それが玄奘にとって「足りない」ものだった。そして玄奘の使命は、人々を救うのは天竺にある仏の経典だけで、それを取りに行くことだと師匠は言う。そうして、玄奘は三蔵法師と名を改め、悟空、悟浄、八戒とともに天竺への旅に出るのだった。




PG12指定の作品だけあって、なかなか陰惨なシーンもたくさんあります。
特に、妖怪が人を襲うシーンは、確かにお子様たちにとってはPTSDになりそうなものもあるかと。
その他は、チャウ・シンチー監督作品だけあって、笑いあり涙ありの流れでした。最後に、砂漠を背景に、天竺に旅立つ4人が並んで歩く姿に、Gメン75のテーマが流れたときには、なんともいえない笑いが出てしまいました。ここで、この曲をチョイスするとは。

いろいろと考えさせられる要素もあります。
人間が悟りを開くときって、こういうものなのだな、とか。
極限状態に置かれて、その中から最後につかみとるもの、もしくは手の中に残ったものが、悟りなのかもしれません。



西遊記~はじまりのはじまり~ [DVD]

西遊記~はじまりのはじまり~ [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

山の郵便配達(1999) [アジア]

山の郵便配達.jpg

良い作品であることは知っていましたが、年を重ねてから改めて見ると、その良さがさらに深く味わえます。
彭見明による同名の短編小説『山の郵便配達』を原作とする、中国映画「山の郵便配達」(1999、原題:那山、那人、英題:Postmen in the Mountains)
監督は霍建起、脚本は思蕪。
出演は滕汝駿、劉燁、趙秀麗、陳好など。
1999年の中国映画金鶏賞では、主演男優賞(滕汝駿)と作品賞を、2002年の毎日映画コンクールでは外国映画ベストワン賞を、2002年のモントリオール世界映画祭ではPeople's Choice Awardを受賞。



1980年代初期の中国湖南省西部の山岳地域。
その地域で、長年にわたって郵便物を届けていたベテランの郵便配達員(滕汝駿)は、膝を痛めて引退することになった。代わりに、24歳になる息子(劉燁)が新しく郵便配達員となる。配達は、2泊3日の厳しい道のりである。はじめての配達を前に、父は心配して入念に準備を手伝い、息子に配達にかんする諸注意を告げる。
出発の朝、父の相棒であり誠実な家族でもある犬「次男坊」を呼ぶ息子だったが、次男坊は、父ではなく息子に呼ばれるという、いつもとは違う状況を理解できず、送り出す父のそばから離れない。息子は、地図も持っているので、自分ひとりで行くと言い、出かける。その息子の後を、父は心配して自分も付いていくと追いかけ、その父を追って次男坊も追いかけてくるのだった。
父にとっては最後の、息子にとってははじめての郵便配達が始まる。

息子にとって父は、仕事でほとんど家に戻らず、容易に近づけない怖い存在だった。
「父さん」と呼んだこともない。
母(趙秀麗)が、いつも父の帰りを待ち、さびしそうだったことも、父との距離を感じさせる要因だった。出かけていく者は、その時々のことに必死で、待つ者のことなど思い出したりはしないのだろうが、残された者は、出かけた者を心配して待つしかない。父は、待っている自分と母のことを思ってくれていたのだろうか、さらにいえば、父は自分のことを嫌いなのではないか、そのような思いを息子は抱いていたのだった。

最初はなんとなく遠慮し合っていた父と息子だが、父と配達先の人々との深い交流を見ていくうちに、息子は父の仕事を、父は息子の成長を知っていく。父は息子に郵便配達員の仕事とはどのようなものか、その心得を丁寧に教え、息子もまた、郵便配達員の仕事が単に手紙を送り届けるだけはないことを知るのだった。
最初の夜は、トン族の結婚式の祝宴にも加わることになる。トン族の娘(陳好)に、息子は思わず見惚れる。そんな息子のようすに、父は、母との出会いを思い出していた。母は山の娘で、ケガをしていたところを父が助けて結ばれたのだった。トン族の村を出たとき、父は、仲良く話をする息子とトン族の娘のことを思い出し、娘に好意を持ったのではないか、と息子に聞く。息子は、娘には好意を持ったが「山の娘とは結婚しない」と言うのだった。なぜならば、母がいつも故郷を恋しがっていたからだ、と。そのことばを聞き、父は、息子のさびしさを知るのだった。

4キロの道を短縮するため、川を渡ることに。
息子は、父を背負って川を渡る。そして、川の水で冷えた体を温めるために焚火をする。
焚火にあたりながら、父は、息子が生まれたことを知らせる母の手紙を受け取ったことを、郵便配達員をしていて自分の手紙を配達したのははじめてで、とてもうれしかったことを話す。その話を聞きながら、息子は、父もまた家に残した母や自分を思い、つらい思いをしていたのだということを、父は、息子がさびしさの中にも父を慕い、そして母を守りながら、頼もしく立派に成長したことに気づく。
「父さん、行こうよ」
先を急ぐため、息子が父をうながす。息子が父を「父さん」と呼んだのは、これがはじめてだった。

父と息子は、お互いに相手のことを意識しながらも、なかなか打ち解けられなかったこれまでのことを思い出していた。そして、この2泊3日の配達の旅で、その距離が近づいたことを実感するのだった。
郵便配達員の仕事は過酷だ。
息子にそのような酷な仕事をさせるのはしのびない、他の仕事に就くことも可能であると心配する母や周囲の者に対して、父は「あいつなら大丈夫だ」と告げる。
その父のことばを聞いた息子は、父に認められたことを知る。
ひとりで配達に出かける息子のあとに次男坊がついていく。しかし、息子を見送る父の元に戻る。そんな次男坊を父が送り出すと、次男坊は、新たな相棒の息子を追っていく。
郵便配達員という過酷な仕事をやり遂げようと決意した息子の思いを、父はしっかりと受け止めたのだった。





お互いに思い合いながらも、小さなすれ違いで打ち解けられなかった父と子が、父の仕事を継ぎ、その仕事を通して互いを理解していくという、なんともハートウォーミングな話。親の職業を知ることは、とてもすばらしいことです。そして、父の姿を見て、父と同じ職業に就きたいという思いは、「下町ロケット」でも描かれていたように、父子の絆を強くするものかもしれません。
この映画をはじめて見たときは、私はまだ若く、働いていませんでした。そのときも、良い映画だと思いました。しかし、自分が働き始めてから改めてこの映画を見ると、仕事を通じた親子の絆など、いろいろなことが実感できるわけです。今、この映画を見て感動している部分が、すべて実感のこもったものになっているわけです。すごいですね、年を重ねて、経験値が高まることによって得られる映画の楽しみ方というのは。

他にも、この作品では、父と息子の距離が近づいただけでなく、「次男坊」と呼ばれた犬と息子の関係も近づいていることもわかります。
「次男坊」の由来は、いわゆる息子が「長男」で犬が「次男」ということで、犬が家族同然であることを示しているわけです。
最初は、父の相棒である「次男坊」に軽く嫉妬していた息子ですが、旅の後半、2日目の橋を渡るシーンで、いつもは父のそばにいた「次男坊」が、息子の膝に頭を乗せ、水をもらっていました。そして、そのまま「次男坊」が息子の座っている足の間に顔を入れているのです。犬のこの行動は、相手を信頼し、甘えていることを示しています。このシーンを見て、「次男坊」は息子のことも相棒だと認め始めたことがわかります。
犬フェチにはたまらないシーンでした。

映像もきれいでいた。湖南省の綏寧県と道県で撮影されたというその山岳風景はとても美しく、自然の優しさと厳しさを伝えてくれます。トン族の踊りも見ることができて、とても良かったです。

この作品は、ぜひ、就職活動中の学生や、社会人になった方に見ていただきたいですね。




山の郵便配達 [DVD]

山の郵便配達 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝東和
  • メディア: DVD


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

後宮の秘密(2012) [アジア]

後宮の秘密.jpg

「ノートに眠った願いごと」などを手掛けてきたキム・デスン監督による陰謀と欲望がうずまく韓国の宮廷劇「後宮の秘密」(2012 韓国/原題:後宮)
監督はキム・デスン、脚本はキム・ミジョン、キム・デスン。
出演は、チョ・ヨジョン、キム・ドンウク、キム・ミンジュン、パク・チヨン、チョ・ウンジ、イ・ギョンヨン、キム・ゲジュ。


朝鮮時代、王の異母弟ソンウォン大君(キム・ドンウク)は、シン参判(六曹(吏曹・兵曹・礼曹・戸曹・刑曹・工曹)の次官)とともに、狩りに興じていた。しかし、大君は鹿を仕留め損ない、落馬する。代わりに鹿を仕留めたのは、シン参判が、助けてもらった礼として引き取ったクォニュ(キム・ミンジュン)である。
シン参判の屋敷では、狩りの後の宴がもよおされていたが、ソンウォン大君が狙っていた鹿をクォニュが仕留めたことで、シン参判とクォニュが言い争いをする。そんなクォニュを止めたのは、シン参判の娘ファヨン(チョ・ヨジョン)だった。ソンウォン大君は、美貌のファヨンに一目ぼれをする。
ソンウォン大君は、シン参判の屋敷に娘を目当てに入り浸っていることを、母である大妃(パク・チヨン)に注意される。大妃が神経質になるのには理由があった。王の腹違いの弟であるソンウォン大君は、王室にとっては疎ましい存在である。かつて、ソンウォン大君の屋敷が、大君を排除する一派によって火事になったことがあった。その恐怖の過去もあり、大妃は息子を守り抜き、息子を王位に就けるため、苦心していたのだ。
王は、義理の母である大妃を気遣っていた。しかし、王は、出産の際に他界した亡き王妃の後、後宮(側室)を設けないのは「大妃の陰謀だと噂されている」と述べる大妃の圧力に負け、新たに王妃を立てることを承知する。そして、全国に王妃選びの通知が出された。
シン参判は娘を後宮に入れようと考えていた。娘をもらう約束していたソンウォン大君が、シン参判の家に乗り込んできた。
ファヨンは、その騒動にまぎれて、クォニュと一緒に屋敷を逃げ出すのだった。しかし、すぐにふたりはシン参判に見つかる。クォニュの命を助けるために、ファヨンは王宮に行くことを決意する。クォニュは命だけは助かったが、去勢されてしまう。
5年後。王妃となったファヨンは、ひとりの幼い王子の母となっていた。
王の容体は日増しに悪くなり、その原因も分からないという状態だった。王の容体を心配して、ソンウォン大君が放浪の旅から王宮に戻ってきた。相変わらず美しいファヨンに見て、恋焦がれる気持ちを抑えられないソンウォン大君は、ファヨンに簪を渡す。
そんなとき、王の容体が急変し、亡くなった。
王を死にやったのは、大妃と、その情夫であるユン・ジョンホであった。
王が世継ぎを指名することなく亡くなったため、後継者の任命権を持つ大妃によって、ソンウォン大君が王に即位する。そして、今後の王位争いの火種になるであろう前王妃であり現在はスヨン宮となったファヨンと前王の王子を排除するため、大妃とユン・ジョンホは、手始めに、ファヨンの父と左議政の排除に動き出す。
前王の容体が急変した原因が、そのときに供された食事にあることを突き止めたファヨンの父と左議政。そのときのようすを知る女官を探し、大妃たちに対抗しようとしていた矢先、ファヨンの父と左議政は、ユン・ジョンホによって謀反の罪で捕えられる。
ユン・ジョンホの配下としてクォニュが王宮にやってきた。
王妃を迎え入れ、周囲の操り人形のような屈辱的な初夜を迎えた王は、ファヨンのいる屋敷を見ながら、恋しい気持ちを抱いていた。
一方、ファヨンは、前王の容体が悪くなった日、なにがあったのかを知っている女官の居場所を突き止める。そして、前王が大妃殿で昼食をとったこと、その食事は大妃たちが用意したものであったと聞き、前王が毒殺されたことを知る。
呆然となるファヨンのもとに、王が訪ねてくる。王の好意によって、自分の立場が悪くなることに心配し、王をを冷たくあしらうファヨンだったが、王のそばにいるクォニュの姿を見つけ、驚愕する。
政治のすべては大妃が行っていた。経験が浅く執政に慣れていない王のために、大妃が摂政になっているというた、この、大妃による垂簾政治に、王は自分がないがしろにされ、操り人形にされているような気がして、不満を抱いていた。そして、ファヨンを執拗に排除しようとする大妃に反発を覚えるのだった。
ファヨンは、クォニュとの再会を喜びつつ、自分を助けてくれと頼む。しかし、クォニュは、かつてファヨンが自分を見捨てて王宮に行ったと思いこんでおり、そのことでファヨンたちを憎んでいること、そして復讐のために、今は宦官となって王宮に上がり、ファヨンを排除しようとするユン・ジョンホの配下となったことを告げる。
クォニュはチュンヨンと名を変え、王の側近となる。
ファヨンは自分の力で父を助けようとするが、クォニュに邪魔をされ、切羽詰まって王に懇願する。王は、ファヨンの父を助けるよう訴えるが、王の申し出は大妃によって退けられ、ファヨンの父は拷問の末に打ち首に処せられるのだった。
絶望で苦しむファヨン。
その姿に、王も心がふさぎ、政治から遠ざかる。
ファヨンを排除しようとする者たちのことばに耐えきれず、ファヨンのもとに訪ねた王だったが、ファヨンから拒絶され、そばにいた侍女クモク(チョ・ウンジ)を連れ去り、クモクにファヨンの面影を重ねながら、自分のものにするのだった。
王の寵愛を受けたことで、クモクの権力に対する欲が生まれる。
クモクは、ファヨンが王宮に入る前から仕えており、クォニュの正体も、ファヨンとの関係も知っていた。
ユン・ジョンホに、ヒ素を作るよう命じられたクォニュ。大妃は、ファヨンを事故死させるつもりなのだ。
一方、クモクは、王の息子を産んで自らが王妃となろうと画策する。王の関心を買おうとファヨンの装飾品を無理やり借りたまでは良かったが、王がファヨンに渡した思い出の簪を使ったため、王の怒りにふれる。クモクは自己弁護のため、ファヨンとクォニュの関係を王に暴露する。王子は、月足らずで生まれた子だったのだ。
クモクの話を聞き、王子の本当の父親はクォニュで、ファヨンとクォニュの関係は今も続いていると疑心暗鬼にとらわれた王は、怒りに燃えてファヨンのもとに行く。しかし、クォニュは正真正銘の宦官だった。クォニュが王子の父であることも、ファヨンと今も関係を持っていることもありえないことだった。自分の早とちりをファヨンに責められた王は、自分がどれほどファヨンを愛しているかと、ファヨンに自分の気持ちをぶつけるが、「真の王になってからお越しください」と言われる。
王は、ファヨンに受け入れてもらうため、真の王になることを誓うのだった。
王は、大妃が前王を殺害したことを知る。
クォニュは、王子が月足らずで生まれたことを知り、ファヨンと自分が逃げたあの夜にできた子であること、すなわち、王子が自分の子であることに気づく。そして、ファヨンと王子を守るために動くことを決意する。
クォニュの手配により、王にヒ素入りの薬が出された。通常、その薬は、性力増強剤の類のものだったが、自分がまるで種馬のようだと不満を抱いていた王は、その薬をクォニュに飲ませる。一瞬、躊躇しつつも薬を飲んだクォニュは血を吐いて倒れる。
自分を毒殺しようとする者がいると知った王は、その薬を用意したのがユン・ジョンホであることを聞き出す。そして、王は、自分が成し遂げたいこと、すなわち大妃の排除に向けて行動をするのだった。
クモクは、大妃に、ファヨンとクォニュの関係を伝え、ファヨンを追いやろうと目論む。しかし、その口の軽さが災いして、自分が追いやられる。
一方、王は、王の殺害を画策したのがユン・ジョンホであり、その黒幕が大妃ではないかと、大妃に直接追及する。ファヨンに執着し、母である大妃のことばを聞こうとしない王に対して、大妃は、王子がクォニュの子であることを王に伝える。なぜなら、前王に世継ぎが生まれるはずがないからだと言う。その理由を聞く王に対し、大妃は、自分が前王が薬を飲ませ、世継ぎができないようにしていたことを暴露する。すべては息子を王位に就けるためだったが、王の耳には、もう大妃のことばは入らなかった。前王を慕っていた王は、母である大妃の所業に、前王の次は自分を殺して、王位を自分のものにしたかったのかと激昂する。王は、大妃一味を粛清する。
クォニュは、大妃に王殺しの罪を着せ、まさに命がけでファヨンと王子を守ったことに安堵していた。そして、「俺たちの子を守ってくれ」とファヨンに伝える。しかし、たおやかで弱々しかったファヨンの口から飛び出したのは衝撃のことばだった。
――「俺たちの子? 王子は誰の子でもない、私の子よ」
「真の王となったらお越しください」というファヨンのことばを思い出す王。王のもとを訪れたファヨンは、そのまま王に身を捧げるが、その手には、王から送られた簪が握られていた。そして、かつて、侍医から教えられた急所に、簪を深々と突き刺すのだった。
王が死んだ。大妃はこうなることを予見していたかのように、静かに現実を受け入れる。そして、自らの最期を選択するのだった。
幼い王子が玉座に座る姿をファヨンは眺めていた。ふりかえるその目には、これまで幾度となくくりかえされてきた王の母の戦いが、これからもくりかえされることを予感させるものだった。



これ、R18指定なのですよ。
道理で、エロなシーンが満載でしたが、それよりもさすがに韓国の映画は残酷シーンも満載でした。
ソンウォン大君が王となり、王妃との初めての床入りシーンがありましたが、そこで参照されていたものが、一言一句、かつて読んだ房中術の内容そのものだったので、本当にあれを実践するんだな、と少し驚きましたが、房中術がもてはやされた時期のことを考えると、一応架空の時代設定ということですが、朝鮮時代といっても、どの時代を指すのかと気になりました。
舞台セットは、よくみる極彩色のものではなく、木の素朴さと光と影のコントラストが印象的なものでした。時代によってはこのような装飾のないセットのほうがリアルなのかもしれません。「エドワードⅡ」を少し彷彿とさせる、シンプルなセットです。その分、赤という色彩が効果的に使われていたように思います。血のような赤は「周りの色をすべて吸い込み、更に威光を放つ国王の色」と大妃が言っていましたが、この赤で彩られたときのファヨンは、王をしたがえる「王」なのだという暗示なのかもしれません。

もともと、コスチュームプレイ(歴史映画)が大好きなので、この映画も、内容を確かめることなく見ましたが、見てびっくり。大妃のソンウォン大君に対する愛情を感じつつも、それがねじ曲がっていく過程が、これまたファヨンのわが子に対する愛情によって強調されていくのが、一種のホラーのようでした。周囲に翻弄されるばかりであったファヨンが、わが子のために狡猾な策士となっていく過程に、人間の「欲」というものを感じずにはいられませんでした。R18指定ですが、エロティックというよりも、なにやら狂気に満ちた愛情と悲哀に満ちているような気がします。この映画が公開される際には、おそらくエロの方が強調されたのでしょうが、これは、人間のエゴの映画ですよ。
正直、あまり好みのジャンルではありませんでした。



後宮の秘密 [DVD]

後宮の秘密 [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

墨攻(2006) [アジア]

墨攻.jpg

『後宮小説』で衝撃デビューを果たした酒見賢一による、戦国時代の中国を舞台とした歴史小説『墨攻』
小説と、それを原作とした森秀樹作、久保田千太郎脚本の漫画をもとに、アジアの知が集結した日中韓合作、「墨攻」(2006 中国・日本・香港・韓国)
監督は張之亮(ジェイコブ・チャン)。
出演は、劉徳華(アンディ・ラウ)、アン・ソンギ、王志文(ワン・ジーウェン)、范冰冰(ファン・ビンビン)、呉奇隆(ウー・チーロン)、チェ・シウォン。


舞台は紀元前370年頃の古代中国。
兼愛・非攻を説き、諸国の平和共存を目指した武装防御集団「墨家」。祖・墨子の意志は、3代目巨子・田襄子の代となるとその体質を変え腐敗し、権力と結びつくようになった。そんな中、祖の意志を貫こうとする墨者の革離(アンディ・ラウ)は、趙軍に攻められている、梁城城主・梁溪(ワン・チーウェン)の援軍要請を受け、田巨子の命に背いて単身梁城に乗り込む。

梁は、趙と燕の国境にある小国であり、燕を目指す趙は、まず梁に進軍してくる。趙の将軍・巷淹中(アン・ソンギ)率いる10万の大軍に包囲された梁王は、援軍に駆けつけたたった1人の墨者・革離の力量を不安視しながらも、趙への降伏を拒絶し、わずかな望みにかけて、革離に軍事指揮権を委ねるのだった。

籠城の経験がない革離だが、梁城にいるわずか4000人の兵士・民のまとめあげ、知略知謀を尽くして城を守り抜く。趙軍の裏をかき、撤退に追い込んだ革離は、梁の人々の絶大な信頼を得、特に、王子・梁適(チェ・シウォン)や弓の名手・子団(ウー・チーロン)、王直属の騎馬隊を束ねる美しい逸悦(ファン・ビンビン)からは崇拝にも似た、強い信頼を受ける。

しかし、人々との出会いにより、革離の心にも変化が生まれる。墨家のかかげる兼愛とは、自分にも他人にも等しく厳しい。そのため、目的を阻むものは味方であろうと斬ることを厭わないのであるが、死にゆく味方と敵の兵士たちのようすに、常に冷静であるはずの革離の心にも迷いが。

民の心を掌握してしまった革離に対して、牛子張(チン・シウホウ)などの王の側近たちは嫉妬の念を抱き、趙軍撤退後、革離に謀反の罪をかぶせて殺害しようと企む。革離を逃がした梁適は命を落とし、そんな王へ抗議をした子団と逸悦もそれぞれ囚われの身となる。

梁城の団結が揺らぐ中、趙軍が押し寄せて来た。革離を失い、あっけなく城を明け渡し、降伏した梁。しかし、巷将軍の目的は、革離の「敗北」だった。梁民を人質にして革離を城に呼び戻した巷将軍は、革離との最後の勝負に挑むのだった・・・。



酒見賢一の原作『墨攻』(新潮社、1991)を読んでいました。
注目していた第1回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、直木賞候補にもなったデビュー作『後宮小説』(新潮社、1989)の次の作品ということで、早々にハードカバー版を購入して読んでいたのですが、漫画になっていることは知りませんでした。映画は、さすがに原作とは違いますね。

原作をそのまま映画にしてしまうと、「HERO」(2002 香港・中国)的な感じになるかと思いますが、適度に恋愛要素が入って、少しは色がついたような気がします。この恋愛要素が余計だという意見もありますし、確かに恋愛要素が加わることによって異能集団である墨家の思想とか、革離の活躍ぶりが色あせた感じになったしまいましたが、個人的には色が加わったことで娯楽性は高まったと思います。趙軍との攻防戦や、梁王側の嫉妬、理不尽な仕打ちなどを丁寧に描くことで、それはそれで映画としては奥の深い、ファンの心をぐっとつかめるものになったとは思いますが、これは好みというものでしょう。

原作とは少しイメージは違いますが、逆にまったくの別物として楽しめたのが、革離役のアンディ・ラウをはじめとした俳優陣の手堅さ。特にアンディは、「ストイックな男」をしっかり演じてますし、ボロをまとっていても、ほこりだらけ、藁くずだらけになっていても、男前。男前すぎて惚れてしまいそうです。若手では、ウー・チーロンもいい味出していました。

全体として、歴史ものとしてはよくできた作品です。墨子などの基礎知識がなくても楽しめますし、ひとりの青年のヒューマンドラマとして、見応えは充分にある映画ではないでしょうか。


墨攻 [DVD]

墨攻 [DVD]

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • メディア: DVD



タグ:墨攻
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

HERO(2002) [アジア]

HERO.jpg

「紅いコーリャン」「菊豆」「紅夢」「初恋のきた道」の張藝謀がアジアを代表するスタッフ・キャストを集め、壮大なスケールで描く一大歴史スペクタクル巨編、「HERO 英雄」(2002 香港・中国)
監督・脚本は張藝謀(チャン・イーモウ)。
出演は、ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、ドニー・イェン、チェン・ダオミン。


秦の始皇帝の暗殺をめぐる数々の伝説の、これはひとつにすぎない。
紀元前200年、戦乱のさなかにある中国。のちに始皇帝と呼ばれることになる秦王(チェン・ダオミン)のもとに、無名(ジェット・リー)と名乗る一人の男が拝謁する。男は、最強と恐れられた趙国3人の刺客、 長空(ドニー・イェン)、残剣(トニー・レオン)、飛雪(マギー・チャン)をすべて殺したという。その証拠にそれぞれの名が刻まれた一本の槍と二本の剣を携えていた。

無名は、秦国の一番小さな村の官吏であったが、10年の歳月をかけ独自の剣術を極め、それをもって3人の刺客を討ち倒したという。絶え間なく現れる刺客に対し、王宮内は、刺客さえも潜めないほど人気がなく、身を守るため百歩以内に誰も近づけようとしない秦王だったが、長空を殺せば30歩のところまで近づくことができ、また、残剣と飛雪の内いずれかを殺せば、さらに10歩まで近づくことができることになっていた。

秦王は、無名の功績を認め特別に、30歩の距離まで近づくことを許し、長空をどのように倒したのか、その経緯を語るよう促した。
長空との戦いは、雨の滴る棋館で行われ、壮絶でありながらも静謐な戦いであったという話に感服した秦王は、さらに10歩の所まで近づくことを許し、残剣と飛雪をめぐる戦いはどのようであったか問うた。
無名の口から語られたのは、愛と嫉妬と死の物語だった。秦王の前に置かれた無数の灯し火があやしげに揺らめき、秦王は静かに言った。「おまえは嘘をついている。あの2人にかつて私は相まみえている。嫉妬で身を滅ぼすような器の小さい人間ではない」・・・。



新たな始皇帝像を描きましたねー、これで。
「始皇帝暗殺」(1998 中国・フランス・アメリカ・日本)では人間味のある・・・というか、不幸が重なりすぎて悲しい感じがしたけれど、今回の始皇帝は、器の大きさを感じさせる風格がありました。
そんな、静かだけれど凛として心理描写は、他のキャラクターにも通じるもので、かなり見せてくれます。ほんのちょっとした表情やしぐさですべてを語ってしまう俳優人の演技には、やられましたね、泣いてしまいました。

一方、アクションシーンは、ジェット・リーやドニー・イェンといった基礎がちゃんとできた俳優のおかげで見ごたえはあったけれど、ワイヤーワークはちょっと笑えます。「呑気に飛んでるから刺されるんだ」と思ったりして。ああいう、最近のアクションは非日常的すぎて、逆に笑えるのかも。
とはいえ、同じCG使いでも、あの映像美には脱帽です。エヒソード毎にテーマカラーがあって、正直、美しすぎます。水の表現なんて、あのマギー・チャンの頬についたあの表現なんて、心にぐぐっときます。ワダエミの衣装もよかったです。

重層的なストーリー展開も、けっこう面白いと思いましたが、それよりも映像美と心理描写のすばらしさは必見でしょう。あとは脚本が完璧ならばっ、て気はしないこともないですが、日本人好みの美しさ全開です。


英雄 ~HERO~ 通常版 [DVD]

英雄 ~HERO~ 通常版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • メディア: DVD



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

紅夢(1991) [アジア]

紅夢.jpg

「菊豆」に続く張藝謀とコン・リーのコンビ第3作。
蘇童の小説『妻妾成群』を原作とする「紅夢」(1991 香港・中国/原題:大紅灯篭高高掛 RAISE THE RED LANTERN)
監督は張藝謀(チャン・イーモウ)。
出演は、コン・リー、フー・チャイフェン、マー・チンウー、ツァオ・ツイフェン、コン・リンなど。


1920年代の中国。父に先立たれた経済的理由から大学を半年で辞め、口うるさい義母から逃れるために、19歳の頌連は地元の素封家の当主との婚姻を承諾する。
彼には、彼女の前には本妻を含めて3人の愛妾がおり、彼女は第4夫人として屋敷に入る。
1院~4院と呼びならわされる彼女らの居室の外に赤い提灯が点れば、そこに旦那=陣佐千のいる証となり、女たちはみんなその瞬間を待つのだった。点灯された院の女には、足叩きが施され、その日の食事の選択権が与えられる。点灯が続けば屋敷における権力も大きくなるのだ。

初夜の晩は、舞台の人気女優だった3院の梅珊の介入で何もなく終わったが、すぐに無理矢理に女とされた頌連に2院の卓雲は同情的だった。が、旦那と関係を持ち、第4夫人になれると考えていた召使いの雁兒は、頌連に対し露骨に意地悪くした。

点灯・消灯・・・旦那の機嫌ひとつで左右される自分たちの存在にフラストレーションをため、そしてむなしさを覚える頌連は、ある日、旦那の長男の吹く笛の音に心安らぐ。そして頌連は、持参していた父の形見の笛を探す。しかし、笛はなくなっていた。雁兒の部屋にそれを探すと、その中いっぱいに飾られた赤い提灯が。

赤い提灯は妻にしか許されないものである。身のほど知らずな雁兒の実態に驚愕する頌連は、さらに自分の名が書かれた呪い人形・・・針を無数に打ちつけてある呪い人形を見て、ショックを隠せない。
ただし、文盲の雁兒に字の書けるはずがない。雁兒に問い詰めたところ、それを書いたのは、彼女につらくあたっていた梅珊ではなく、優しげに見える卓雲であった。梅珊の話によると、卓雲こそ旦那の関心を得るためにはどんな悪事もしでかしかねない女だとのこと。

頌連は人が信じられなくなり、狂言で妊娠を訴えるが、これを下着についたメンスの血痕から雁兒が卓雲に密告し、医師によって妊娠が嘘であったことが明らかにされる。
頌連の提灯は封灯され、屋敷での彼女の地位は下落する。点灯・消灯・封灯・・・そんなものに振り回される自分たち。旦那の愛を得ることだけが人生の目的とは、むなしすぎる。酒におぼれる頌連は、酔った勢いで梅珊と医師・高の不倫関係を暴露し、梅珊は捕えられて惨殺されてしまう。その一部始終を目撃した頌連は精神に異常をきたし、翌年、旦那がうら若き第5夫人を迎える頃には完全に気がふれてしまっていた。



コン・リーの美しさに脱帽!
楊貴妃のような肉感的な中国美女として名高いコン・リーだが、自尊心と権力への誘惑に翻弄される頌連を好演している。足叩き、いわゆる軽い足つぼマッサージみたいなものが、点灯される院の女にだけ施されるわけであるが、その心地よさと屋敷内での権力確保は同一であること、それをなんとか得たいと思う気持ちと、旦那の気分次第でふりまわされるという、まるで動物のように扱われることに対する反発が、心の中でせめぎあっている様子は、なんともいえない。

しかし、コン・リーって独特の役柄が多いような気が・・・。
「菊豆」ではけなげな後家役だと思ったら、すごいことやっちゃうし、「続・西太后」では小生意気・・・いやいや、しっかりした性格がアダになってしまった悲劇の皇后役、「さらば、わが愛/覇王別姫」では娼婦役だし。人生の荒波を渡ってます!的な骨太女性を演じることが多い。逆に、貴重な女優なんだけど。

映画として、映像的にもレベルが高い。「紅」を使った数々の演出、随所にちりばめられた梅珊の歌声、旦那の顔をはっきりとは見せない女だけの水面下の戦いが、実にうまく、上品に描かれている。
中国映画はあまり知られていないが、同じくコン・リー出演の映画「さらば、わが愛/覇王別姫」「始皇帝暗殺」にはない情緒感がある。中国映画がなぜもっと普及しないのかがわかんないなぁ~、というより、観ようよ!

アジア映画はテレビ放映されることも多いので、ぜひ観てもらいたい。この映画は日本人もスタッフとして参加している。そのせいか、中国映画としてはちょっとノスタルジックな感じがしている、かな。


タグ:紅夢
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ラストエンプレス/西太后(1994) [アジア]

ラストエンプレス 西太后.jpg

アダルト路線に行ったので、ついでにこれも紹介。「ラストエンプレス/西太后」(1994 香港/原題:慈禧秘密生活 LOVER OF THE LAST EMPRESS)
監督はアンドリュー・ラウ。

「西太后」といえば、リウ・シャオチン(劉暁慶)主演の名作「西太后」(1984 中国=香港/原題:垂簾聴政)が脳裏にびっしりと焼き付いている。映画のすばらしさもさることながら、コン・リーに代表されるように、いかにも骨太の女性美爆発! といったシャオチンの美しさにうっとりしているからだろう。そもそも、西施のような柳の腰のほっそり美女よりも、楊貴妃のような肉感的で少女のようなあどけなさを持った美女に惹かれる私なので、肥ってはいないが、しっかりとした体つきのシャオチンには、くらくらっときますなぁ。

しかし、今回紹介する「西太后」は、現代の女性美といったスレンダーで子悪魔的な西太后だ。その歴史的背景よりも、皇帝の愛を奪い取り――といった、愛と欲望の日々を官能的に描いている。皇帝をたらしこむときのシャオチンの眼差しの使い方は、男心どころか、女心までがっしりとつかまれてしまったが、「慈禧秘密生活」では、まさに体当たりの誘惑。これは、もしかしたらアダルトコーナーに置かれているかもしれませんが、レオン・カーフェイの優男ぶりもいいので、一度、観てはいかがでしょう。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

黒薔薇vs黒薔薇(1992) [アジア]

黒薔薇vs黒薔薇.jpg

「黒薔薇vs黒薔薇」(1992 香港)を紹介。
レオン・カーフェイ主演。

レオン演じるキザったらしい刑事ロイ・ケイは、同じアパートに住むバツイチの売れない童話のウォンが好き。そのウォンとその友人がひょんなことから麻薬の売買に遭遇し、とっさに「怪盗黒バラ」と名乗ってしまう。しかし、この「黒バラ」という怪盗が本当にいたので話がややこしくなっていく・・・。


というわけで、結末はどうなるか、気になる人は、レンタルビデオ屋にダッシュだっ。

レオンといえば「愛人/ラマン」が有名だけれど、彼は、「水滸伝」「西太后」「ラストエンプレス/西太后」といった歴史ものにも出、特にジョン・ローン主演の「ラストエンペラー」の皇帝役をけって中国版ラストエンペラー「火龍」で愛新覚羅溥儀を演じたことは、まあ、有名だろう。

さすがのハンサムくんで、優男を演じさせればピカイチの彼だが、「黒薔薇vs黒薔薇」のようなコミカルな映画でも、見せてくれます。こういうレオンは、好きだなぁ。さすが香港映画だ。


黒薔薇VS黒薔薇 [DVD]

黒薔薇VS黒薔薇 [DVD]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: DVD



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画
アジア ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。