SSブログ

後宮の秘密(2012) [アジア]

後宮の秘密.jpg

「ノートに眠った願いごと」などを手掛けてきたキム・デスン監督による陰謀と欲望がうずまく韓国の宮廷劇「後宮の秘密」(2012 韓国/原題:後宮)
監督はキム・デスン、脚本はキム・ミジョン、キム・デスン。
出演は、チョ・ヨジョン、キム・ドンウク、キム・ミンジュン、パク・チヨン、チョ・ウンジ、イ・ギョンヨン、キム・ゲジュ。


朝鮮時代、王の異母弟ソンウォン大君(キム・ドンウク)は、シン参判(六曹(吏曹・兵曹・礼曹・戸曹・刑曹・工曹)の次官)とともに、狩りに興じていた。しかし、大君は鹿を仕留め損ない、落馬する。代わりに鹿を仕留めたのは、シン参判が、助けてもらった礼として引き取ったクォニュ(キム・ミンジュン)である。
シン参判の屋敷では、狩りの後の宴がもよおされていたが、ソンウォン大君が狙っていた鹿をクォニュが仕留めたことで、シン参判とクォニュが言い争いをする。そんなクォニュを止めたのは、シン参判の娘ファヨン(チョ・ヨジョン)だった。ソンウォン大君は、美貌のファヨンに一目ぼれをする。
ソンウォン大君は、シン参判の屋敷に娘を目当てに入り浸っていることを、母である大妃(パク・チヨン)に注意される。大妃が神経質になるのには理由があった。王の腹違いの弟であるソンウォン大君は、王室にとっては疎ましい存在である。かつて、ソンウォン大君の屋敷が、大君を排除する一派によって火事になったことがあった。その恐怖の過去もあり、大妃は息子を守り抜き、息子を王位に就けるため、苦心していたのだ。
王は、義理の母である大妃を気遣っていた。しかし、王は、出産の際に他界した亡き王妃の後、後宮(側室)を設けないのは「大妃の陰謀だと噂されている」と述べる大妃の圧力に負け、新たに王妃を立てることを承知する。そして、全国に王妃選びの通知が出された。
シン参判は娘を後宮に入れようと考えていた。娘をもらう約束していたソンウォン大君が、シン参判の家に乗り込んできた。
ファヨンは、その騒動にまぎれて、クォニュと一緒に屋敷を逃げ出すのだった。しかし、すぐにふたりはシン参判に見つかる。クォニュの命を助けるために、ファヨンは王宮に行くことを決意する。クォニュは命だけは助かったが、去勢されてしまう。
5年後。王妃となったファヨンは、ひとりの幼い王子の母となっていた。
王の容体は日増しに悪くなり、その原因も分からないという状態だった。王の容体を心配して、ソンウォン大君が放浪の旅から王宮に戻ってきた。相変わらず美しいファヨンに見て、恋焦がれる気持ちを抑えられないソンウォン大君は、ファヨンに簪を渡す。
そんなとき、王の容体が急変し、亡くなった。
王を死にやったのは、大妃と、その情夫であるユン・ジョンホであった。
王が世継ぎを指名することなく亡くなったため、後継者の任命権を持つ大妃によって、ソンウォン大君が王に即位する。そして、今後の王位争いの火種になるであろう前王妃であり現在はスヨン宮となったファヨンと前王の王子を排除するため、大妃とユン・ジョンホは、手始めに、ファヨンの父と左議政の排除に動き出す。
前王の容体が急変した原因が、そのときに供された食事にあることを突き止めたファヨンの父と左議政。そのときのようすを知る女官を探し、大妃たちに対抗しようとしていた矢先、ファヨンの父と左議政は、ユン・ジョンホによって謀反の罪で捕えられる。
ユン・ジョンホの配下としてクォニュが王宮にやってきた。
王妃を迎え入れ、周囲の操り人形のような屈辱的な初夜を迎えた王は、ファヨンのいる屋敷を見ながら、恋しい気持ちを抱いていた。
一方、ファヨンは、前王の容体が悪くなった日、なにがあったのかを知っている女官の居場所を突き止める。そして、前王が大妃殿で昼食をとったこと、その食事は大妃たちが用意したものであったと聞き、前王が毒殺されたことを知る。
呆然となるファヨンのもとに、王が訪ねてくる。王の好意によって、自分の立場が悪くなることに心配し、王をを冷たくあしらうファヨンだったが、王のそばにいるクォニュの姿を見つけ、驚愕する。
政治のすべては大妃が行っていた。経験が浅く執政に慣れていない王のために、大妃が摂政になっているというた、この、大妃による垂簾政治に、王は自分がないがしろにされ、操り人形にされているような気がして、不満を抱いていた。そして、ファヨンを執拗に排除しようとする大妃に反発を覚えるのだった。
ファヨンは、クォニュとの再会を喜びつつ、自分を助けてくれと頼む。しかし、クォニュは、かつてファヨンが自分を見捨てて王宮に行ったと思いこんでおり、そのことでファヨンたちを憎んでいること、そして復讐のために、今は宦官となって王宮に上がり、ファヨンを排除しようとするユン・ジョンホの配下となったことを告げる。
クォニュはチュンヨンと名を変え、王の側近となる。
ファヨンは自分の力で父を助けようとするが、クォニュに邪魔をされ、切羽詰まって王に懇願する。王は、ファヨンの父を助けるよう訴えるが、王の申し出は大妃によって退けられ、ファヨンの父は拷問の末に打ち首に処せられるのだった。
絶望で苦しむファヨン。
その姿に、王も心がふさぎ、政治から遠ざかる。
ファヨンを排除しようとする者たちのことばに耐えきれず、ファヨンのもとに訪ねた王だったが、ファヨンから拒絶され、そばにいた侍女クモク(チョ・ウンジ)を連れ去り、クモクにファヨンの面影を重ねながら、自分のものにするのだった。
王の寵愛を受けたことで、クモクの権力に対する欲が生まれる。
クモクは、ファヨンが王宮に入る前から仕えており、クォニュの正体も、ファヨンとの関係も知っていた。
ユン・ジョンホに、ヒ素を作るよう命じられたクォニュ。大妃は、ファヨンを事故死させるつもりなのだ。
一方、クモクは、王の息子を産んで自らが王妃となろうと画策する。王の関心を買おうとファヨンの装飾品を無理やり借りたまでは良かったが、王がファヨンに渡した思い出の簪を使ったため、王の怒りにふれる。クモクは自己弁護のため、ファヨンとクォニュの関係を王に暴露する。王子は、月足らずで生まれた子だったのだ。
クモクの話を聞き、王子の本当の父親はクォニュで、ファヨンとクォニュの関係は今も続いていると疑心暗鬼にとらわれた王は、怒りに燃えてファヨンのもとに行く。しかし、クォニュは正真正銘の宦官だった。クォニュが王子の父であることも、ファヨンと今も関係を持っていることもありえないことだった。自分の早とちりをファヨンに責められた王は、自分がどれほどファヨンを愛しているかと、ファヨンに自分の気持ちをぶつけるが、「真の王になってからお越しください」と言われる。
王は、ファヨンに受け入れてもらうため、真の王になることを誓うのだった。
王は、大妃が前王を殺害したことを知る。
クォニュは、王子が月足らずで生まれたことを知り、ファヨンと自分が逃げたあの夜にできた子であること、すなわち、王子が自分の子であることに気づく。そして、ファヨンと王子を守るために動くことを決意する。
クォニュの手配により、王にヒ素入りの薬が出された。通常、その薬は、性力増強剤の類のものだったが、自分がまるで種馬のようだと不満を抱いていた王は、その薬をクォニュに飲ませる。一瞬、躊躇しつつも薬を飲んだクォニュは血を吐いて倒れる。
自分を毒殺しようとする者がいると知った王は、その薬を用意したのがユン・ジョンホであることを聞き出す。そして、王は、自分が成し遂げたいこと、すなわち大妃の排除に向けて行動をするのだった。
クモクは、大妃に、ファヨンとクォニュの関係を伝え、ファヨンを追いやろうと目論む。しかし、その口の軽さが災いして、自分が追いやられる。
一方、王は、王の殺害を画策したのがユン・ジョンホであり、その黒幕が大妃ではないかと、大妃に直接追及する。ファヨンに執着し、母である大妃のことばを聞こうとしない王に対して、大妃は、王子がクォニュの子であることを王に伝える。なぜなら、前王に世継ぎが生まれるはずがないからだと言う。その理由を聞く王に対し、大妃は、自分が前王が薬を飲ませ、世継ぎができないようにしていたことを暴露する。すべては息子を王位に就けるためだったが、王の耳には、もう大妃のことばは入らなかった。前王を慕っていた王は、母である大妃の所業に、前王の次は自分を殺して、王位を自分のものにしたかったのかと激昂する。王は、大妃一味を粛清する。
クォニュは、大妃に王殺しの罪を着せ、まさに命がけでファヨンと王子を守ったことに安堵していた。そして、「俺たちの子を守ってくれ」とファヨンに伝える。しかし、たおやかで弱々しかったファヨンの口から飛び出したのは衝撃のことばだった。
――「俺たちの子? 王子は誰の子でもない、私の子よ」
「真の王となったらお越しください」というファヨンのことばを思い出す王。王のもとを訪れたファヨンは、そのまま王に身を捧げるが、その手には、王から送られた簪が握られていた。そして、かつて、侍医から教えられた急所に、簪を深々と突き刺すのだった。
王が死んだ。大妃はこうなることを予見していたかのように、静かに現実を受け入れる。そして、自らの最期を選択するのだった。
幼い王子が玉座に座る姿をファヨンは眺めていた。ふりかえるその目には、これまで幾度となくくりかえされてきた王の母の戦いが、これからもくりかえされることを予感させるものだった。



これ、R18指定なのですよ。
道理で、エロなシーンが満載でしたが、それよりもさすがに韓国の映画は残酷シーンも満載でした。
ソンウォン大君が王となり、王妃との初めての床入りシーンがありましたが、そこで参照されていたものが、一言一句、かつて読んだ房中術の内容そのものだったので、本当にあれを実践するんだな、と少し驚きましたが、房中術がもてはやされた時期のことを考えると、一応架空の時代設定ということですが、朝鮮時代といっても、どの時代を指すのかと気になりました。
舞台セットは、よくみる極彩色のものではなく、木の素朴さと光と影のコントラストが印象的なものでした。時代によってはこのような装飾のないセットのほうがリアルなのかもしれません。「エドワードⅡ」を少し彷彿とさせる、シンプルなセットです。その分、赤という色彩が効果的に使われていたように思います。血のような赤は「周りの色をすべて吸い込み、更に威光を放つ国王の色」と大妃が言っていましたが、この赤で彩られたときのファヨンは、王をしたがえる「王」なのだという暗示なのかもしれません。

もともと、コスチュームプレイ(歴史映画)が大好きなので、この映画も、内容を確かめることなく見ましたが、見てびっくり。大妃のソンウォン大君に対する愛情を感じつつも、それがねじ曲がっていく過程が、これまたファヨンのわが子に対する愛情によって強調されていくのが、一種のホラーのようでした。周囲に翻弄されるばかりであったファヨンが、わが子のために狡猾な策士となっていく過程に、人間の「欲」というものを感じずにはいられませんでした。R18指定ですが、エロティックというよりも、なにやら狂気に満ちた愛情と悲哀に満ちているような気がします。この映画が公開される際には、おそらくエロの方が強調されたのでしょうが、これは、人間のエゴの映画ですよ。
正直、あまり好みのジャンルではありませんでした。



後宮の秘密 [DVD]

後宮の秘密 [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD





スポンサーリンク






nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。