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火の鳥〈ヤマト編〉(1987) [アニメ]

火の鳥〈ヤマト編〉.jpg

手塚治虫原作の名作「火の鳥〈ヤマト編〉」(1987 マッドハウス)
監督は平田敏夫。
声は、池田昌子、井上和彦、鶴ひろみ、屋良有作。


父王の命令でクマソの首領・川上タケル暗殺に向かったヤマトの皇子・オグナは、その途中、タケルの妹カジカと出会い、恋仲となる。ヤマトへの忠誠とカジカへの愛の板ばさみになったオグナは、火の鳥と出会う。火の鳥は、クマソの守り神として崇められており、オグナの笛の音に聞き入っていた。
そしてその火の鳥の教えに従ってタケルを討つが、カジカからは兄の仇として追われる身となった。その窮地を救ったのは火の鳥だった。火の鳥は、オグナには果たさねばならぬ使命があると告げていたのだ。
ヤマトに帰ったオグナは、父王の死と共に、父王がクマソに彼を遣ったのは彼を疎んじていたからだと伝えられ、ショックを受ける。その後もオグナは兄たちから疎んじられ、ついには亡き父王の墓にカジカと共に殉死者として埋められることになる。墓の中でオグナの吹く笛の音は1年も聞こえ続けた。それは殉死という風習をやめさせるための、火の鳥のメッセージだった。



「生命」をテーマとした手塚治虫の「火の鳥」シリーズ。火の鳥の判断については、その一瞬だけを見ていたらなんと酷な運命を与えるのだと思うけれど、見終わって感じるのは、人間の長い歴史、その中で育まれていった「生命」を尊ぶという認識を、人間が気づくには、その一瞬の残酷も大切なのだということだろうか。
なんとなく、いつも納得させられてしまいます。

ストーリーを見ればわかるように、この物語は『古事記』と『日本書紀』景行天皇27年10月条のヤマトタケル物語(川上タケルやカジカの存在は『日本書紀』12年12月条の記事が元だろう)と、『日本書紀』垂仁天皇28年11月条~32年7月条に見える殉死禁止および野見宿禰と埴輪の記事が元ネタとなっています。前者はよくご存知だと思うので、後者の一部を紹介。

倭彦命を身狭の桃花鳥坂に葬った。このとき近習の者を集めて、全員を生きたままで、陵のめぐりに埋めたてた。日を経ても死なず、昼夜泣きうめいた。ついには死んで腐っていき、犬や鳥が集まり食べた。天皇はこの泣きうめく声を聞かれて、心を痛められた。群卿に詔して、「生きているときに愛し使われた人々を、亡者に殉死させるのはいたいたしいことだ。古の風であるといっても、良くないことは従わなくてもよい。これから後は議って殉死を止めるように」といわれた。
(宇治谷孟現代語訳『日本書紀(上)』講談社・学術文庫 1988.6)


興味のある方は1度すべての記事を読まれるといいと思いますが、上手にこれらの記事を「生命」というテーマをメインに、冒険と恋愛を織り交ぜて1つの作品に仕上ています。他にもイメージの元となったと思しき神話類が連想されますが、そういうことを考えるとこの作品も広がりを見せますね。

ところで、火の鳥役の池田昌子の声を、先日、久々に聞きました。とある歴史モノのナレーションをしていたのですが、なんというか雰囲気が合ってて聞き入ってしまいましたね。
声優陣でいうと、ハンサムでとにかくかっこいい役(「タッチ」では新田くんを、「ファイブスター物語」では、ジョーカー太陽星団にその名の高き〈武帝〉と呼ばれる勇者で、もうひとりの主人公と目されるダンディでハンサムなコーラス3世陛下を! なぜそんなにイイ男ばっかり演じるのだ? 声がいいからか? でも本人もかなりかっこいい!)が多い井上和彦や、「きまぐれオレンジ・ロード」の鮎川まどか役で有名な鶴ひろみなど、当時のアニメ界の人気どころが大集合! 至れり尽せりですね。


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