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ウォルト・ディズニーの約束(2013) [洋画・ドラマ]

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1964年のディズニー映画「メリー・ポピンズ」の製作背景を描いた、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、BBCフィルムズ、エッセンシャル・メディアによるヒューマンドラマ「ウォルト・ディズニーの約束」(2013 アメリカ・イギリス・オーストラリア、原題: Saving Mr. Banks)
監督はジョン・リー・ハンコック、脚本はケリー・マーセル、スー・スミス。
出演は、エマ・トンプソン、トム・ハンクス、ポール・ジアマッティ、ジェイソン・シュワルツマン、ブラッドリー・ウィットフォード、コリン・ファレル。



1961年のロンドンでは、イギリスの女性作家であるパメラ・L・トラヴァース(エマ・トンプソン)が、新作もなくお金に困り、お気に入りのメイドを解雇することになっていた。
彼女は、この家だけは手放したくないと思いながらも、気難しい性格のため、20年来、毎年のようにウォルト・ディズニー社から自著『メリー・ポピンズ』の映画化についての申し出も断り続けている。しかし、財政的に苦しくなっていることも事実であり、気に入らなければ契約を結ばなければ良い、ロサンゼルスへの調査旅行と思えば良いという代理人の説得で、ロサンゼルスに向かうことになる。
ウォルト・ディズニー社とは、「ミュージカルなし」「アニメなし」の他、そして脚本はパメラが関与し、納得のいくものにすることが条件となっていた。

ロサンゼルスは蒸し暑く、1907年にオーストラリアのクイーンズランド州で過ごした幼少時代を思い出させた。
ディズニー社が用意したビバリーヒルズホテルの部屋には、ミッキー・マウスをはじめ、たくさんのキャラクター人形があふれ、テーブルに置かれた果物の山から洋ナシを見つけると、パメラはそのつらく悲しい思い出に耐えきれず、ベランダから外のプールに投げ捨てるのだった。
心を落ち着けようとテレビをつけると、今度はウォルト(トム・ハンクス)がディズニーランドを案内していた。
アメリカのメディアに君臨する、子どものように陽気で無邪気なウォルトの姿に、パメラは大切なメリー・ポピンズをお金のために売り渡そうを考えている自分と、メリー・ポピンズを欲しがる軽薄なアメリカ人であるウォルトに怒りすら覚えるのだった。

ディズニー社に行くと、ウォルトは、原作を汚さないことを約束する。
しかし、ミュージカルはダメだと断っていたのに作曲担当のシャーマン兄弟(ジェイソン・シュワルツマン、B・J・ノヴァク)が待っており、脚本家のドン・ダグラディ(ブラッドリー・ウィットフォード)には、メリー・ポピンズが能天気な子どもの救済者として、そしてバンクス氏が子どものことを退ける冷徹な銀行員として描かれ、パメラは、大切な家族が侮辱されて汚されることに猛烈に反発する。

ディック・ヴァン・ダイクの出演はダメ、作曲した「チム・チム・チェリー」を聞かせてもダメ、「画面に赤色は使うな」と指示し、『メリー・ポピンズ』のことを理解していないと原稿を窓から捨ててしまうのだった。
ディズニー社のスタッフは、映画化のため、必死にメリー・ポピンズを理解しようと努力し、奮闘するが、それがパメラに伝わることはなかった。

パメラにとっても、メリー・ポピンズと向き合うことは、自分の過去と向き合うことでもあった。
パメラは、『メリー・ポピンズ』の子どもたちの父親・バンクス氏のモデルとなった銀行員の父トラヴァース・ゴフ(コリン・ファレル)と過ごしたオーストラリアでの子ども時代を思い出していた。
父は、自分たちにはケルト人の魂があるといい、特にパメラのことをかわいがってくれた。
夢を見ることを忘れるな、というのが父の口癖だった。

しかし、現実は、父の仕事はうまくいかず、一家は野原の一軒家に引っ越す。
引っ越し先でも、父はつらい現実から逃避するように酒を飲み、アルコール中毒となり、失敗をくり返していた。母マーガレット・ゴフ(ルース・ウィルソン)は、シドニーに暮らす自分の姉エリー(レイチェル・グリフィス)を頼ろうとするが、父はそれを拒否し、そのエリーを「西風」と呼んで避けていた。

アルコールが原因で父は体を壊してしまう。
幼いパメラは、学校で作った詩を父に渡すが、「イェイツには及ばない」と拒絶され、父の歓心を買うために、母が隠していた酒を父親に渡してしまう。絶望感に陥った母は入水自殺を計るが、パメラはそれをなんとか食い止める。
その中、メリー・ポピンズのようにやってきた「西風」のエリーおばさんが新しい薬をいっぱい持ってやって来る。
一家に、平穏が戻ったかのように思えた。
エリーおばさんからもらった2ペンスで、父に何が欲しいかと尋ねると、洋ナシがほしいという。
パメラはよろこび勇んで出かけるのだった。
しかし、パメラが洋ナシを買い、家に戻ると、父は亡くなっていた。
そのときだった。
パメラの父に対する思いは、昇華されることなく、地べたをはいずるようにとどまるのだった。

父との思い出、父への思いを抱きながら、ロサンゼルスの地で孤独にさいなまれるパメラだったが、障害のある娘を持つリムジン運転手のラルフ(ポール・ジアマッティ)にはふしぎな友情を感じていた。

ウォルトは、脚本にことごとく反対するパメラの心の悲鳴を感じていた。
そこで、自らパメラをディズニーランドに案内し、メリーゴーラウンドに乗せる。パメラは、子ども時代の楽しい思い出をふりかえるのだった。
また、ディズニー社に戻ると、気難し屋で冷徹な銀行家バンクス氏の性格が子どもを思う父親のものに変えられていた。
パメラの心が少しずつ開かれていくのだった。

そんなとき、ペンギンの映像をどうするか、という話から、ペンギンをアニメとして描くのだと知り、パメラは激怒して帰国する。

ウォルトは、ホテルの請求書から、パメラが、父の「トラヴァース」の名前を名乗っていたことを知り、次の便でロンドンまで追いかける。
そして、パメラに、自分にもバンクス氏がいる、と語る。
同じアイルランド系移民で、貧しくて辛かった少年時代と厳しかった父との確執の話をするウォルトは、自分は、父親を救いたいのだと話す。厳しかった父を許したいのだと。そのためにメリー・ポピンズが必要なのだと語る。
メリー・ポピンズが救うのは子どもではなく、父親なのだ、と語る。映画の中でバンクス氏を救うことで、世の父親は励まされるだろうと説得するのだった。
パメラは、メリー・ポピンズの映画化の契約書にサインする。

映画が完成し、メディアの騒騒しさの中にパメラを置くことを躊躇するウォルト。
パメラは、招待状が届いていないから行かないと代理人に言うが、「メリー・ポピンズだったらどうするか」と問われて、チャイニーズ・シアターでのプレミアに駆けつける。
そして、バンクス氏が銀行を辞め、子どもたちとともに凧を揚げるシーンに、パメラは父を許し、父から許されたのだと感じるのだった。

メリー・ポピンズは興行的も成功するのだった。




「メリー・ポピンズ」が制作されたころのウォルトは、さまざまな苦難を経て、アニメーション制作ではなく、ディズニーランドの建設によって人々に「理想のアメリカ」を提供しようと考えていた時期です。その時期に、実写映画に乗り出したということになります。
映画のラストで、テープレコーダーが映り、ディズニースタッフとパメラの肉声が流れます。
本当に、パメラが「NO!」と言い続けていたのだということと、メリー・ポピンズが父親の救済を描いたものだということがよくわかりました。
映画の全編に流れる、メリー・ポピンズの名曲の数々に酔いしれ、映画のシーンとパメラの回想が重なりあい、とても良い映画でした。

エマ・トンプソンも、よくこの難しい役をこなしたと思います。
こういう親に対する思いをテーマにした脚本は、心に残ります。なぜなら、人間にとって、親は必ずいますし、親への思いと確執と和解は、不変のテーマですから。

クリスマスの時期に見ると、また感動もひとしおです。



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