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太陽の季節(1956) [邦画・ドラマ]

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石原慎太郎の第34回芥川賞受賞作品『太陽の季節』(1955)が原作の、戦後のセンセーショナルな若者群像を描いた、日活映画「太陽の季節」(1956)
監督は古川卓巳、製作は水の江瀧子。
出演は、長門裕之、南田洋子、三島耕、清水将夫、坪内美詠子、佐野浅夫、岡田眞澄、石原裕次郎、石原慎太郎など。



1955年頃、時代は神武景気といわれる好景気で、戦後の窮屈な価値観に反抗し、若者たちの間には開放的で自堕落な雰囲気が漂っていた。
昭和神奈川県逗子市。
海が近く、開放的な地に住む裕福な家庭で育った高校生・津川竜哉(長門裕之)は、バスケット部に所属していたが、ボクシング部に入り浸っており、伊豆(石原裕次郎)を試合をしたことから、ますますボクシング部に熱中し、転部する。竜哉は、ボクシングに熱中しながらも、部の仲間とタバコ・酒・バクチ・女遊び・喧嘩のいう自堕落な生活をしている。兄・道久(三島耕)とは、酒や女遊びなどで連携しながらも、適度に距離を置き、父・洋一(清水将夫)には漠然とした反発心と反抗心から若干の距離を置いている。しかし、裕福な家庭で育った竜哉は、父や母・稲代(坪内美詠子)に反発しながらも離れられない、そんな世間知らずで甘えた一面もあった。

ある日、ボクシング部の仲間とともに、街にナンパをしに出かけた竜哉は、そこで自分が声をかけた少女・武田英子(南田洋子)と気が合い、一緒にいるようになる。竜哉は、女とのつきあいは肉体の歓び以外のものはなく、友とは取引の相手でしかない、という、今だけを楽しもうという空虚な考えの持ち主であった。そして英子もまた裕福な家庭に育つが、愛を信じず、世の中の倫理に反抗し、退屈な毎日を過ごしていた。

夏に入る前に葉山のサマーハウスの準備にやってきた英子は、逗子の竜哉の家を訪れる。ふたりはヨットで楽しみ、東京に帰るのは面倒だからという英子を家に連れて帰った竜哉は、そのまま英子と関係を結ぶ。

竜哉と英子は、関係を持ち、お互いに惹かれあいながらも、素直になれずにいた。英子は、次第に竜哉に夢中になり、竜哉にならば心を許すことができると考えるが、一方、竜哉は、英子を次第に疎ましくなる。そして、英子に興味を示す道久に彼女を5千円で売るのだった。それを知った英子は、「なぜ、あなたはもっと素直に愛することができないの」と語り、竜哉が素直に自分のことを見るまで、道久に金を送りつけると宣言し、竜哉と道久、そして英子の3人の間で金のやりとりがくり返される。

英子が道久に送った総額が6万円になるころ、英子の妊娠が竜哉に知らされる。
英子の妊娠を知り、いったんは彼女を受け入れようと思う竜哉だが、だんだんと面倒くさく感じるようになる。妊娠4ヶ月になった英子は、竜哉に決断を迫るが、竜哉は突き放すように去る。英子は、その足で病院に行き、妊娠中絶手術を受けるのだった。

ボクシング部の仲間とマージャンをしていた竜哉の元に、英子の友人から電話がかかってくる。中絶手術が失敗し、英子は腹膜炎を併発して死亡したというのだった。英子の葬式に向かった竜哉は、彼女が自分に復讐を果たしたのだと感じ、遺影に香炉を投げつける。これまで、一度も泣いたことがないと言ったいた竜哉の目から初めて涙がこぼれ落ちたのだった。






この映画は、長門裕之と南田洋子が結婚するきっかけとなり、石原慎太郎の芥川賞最年少受賞作品であり、その弟である石原裕次郎のデビュー作でもあるという、いろいろな意味で戦後の日本を象徴するものです。雑誌掲載時のキャッチコピーは、「健康な無恥と無倫理の季節! 眞の戦後派青年像は生れた」というものであり、社会に与えた影響は大きく、竜哉や英子のように、夏の海で無秩序に「生」を謳歌する若者のことは「太陽族」と呼ばれるようになりました。
映画が公開された翌1956(昭和31)年は、「もはや戦後ではない」といわれ、いよいよ、戦後の倫理観が変わり始めた時代でもあります。

石原裕次郎は、当初、若者文化を制作陣に伝えるために同行していましたが、そのまま出演することになったということです。石原慎太郎も友情出演していますが、確かに、裕次郎の方が華があります。しかし、主役ではやはりありえない。この時の裕次郎には、竜哉の、どこか屈折した暗さとは程多い、明るく開放的なイメージがあるからです。
一方、目を惹くのは、バンドマスター役の岡田眞澄。あの顔立ちは、周囲の役者とは別格ですし、神奈川という土地柄もあっていろいろと興味深い配役でした。

この作品は、いろいろな意味で話題になりました。
世間的に話題となった倫理観などの問題もありますが、やはり、現実に目覚めるのが早いのは、現実的な問題に直面しやすい女性なのかもしれません。その他、映画として楽しむのであれば、南田洋子のクラシカルモダンなファッションは、彼女の勝気な容姿とあいまって、ポイントかもしれません。

戦後の若者文化を見ると言う意味では、一見の価値はあるかもしれません。
ただ、個人的に、裕次郎作品の中で好きなのは「黒部の太陽」です。








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